奴(ヤツ・やつ・ド・ど)とは、日本で「彼」や「あれ」等を示す三人称の一つで、「奴」という漢字には「奴隷」「江戸時代の武家の下僕(ヤッコ)」のことであり、「奴」という漢字は「女を囚える」から生まれた文字であり、古くから囚人・召使・いやしいものという意味があって、「奴婢(ぬひ)」(下男下女・律令制における賤民)のように「相手をさげすんで見下す」ことが「奴:ヤツ・やつ・ド・ど」の字です。

最近、デパートで「あっちのヤツですね?」と探している商品を示されました。
またNHKの元アナの「ウドウさん」が生放送で「あっちのヤツね」と、さりげなくある物を指さして説明していました。
正しくは「あちらですね」と言うべきなんです。

奴(ヤツ・やつ・ド・ど)だけではありません。
最近平気で多様される「ヤバイ」とは、もともとヤクザ用語であり、「ハンパない」の「半端」は、「数や量が不揃いないこと」「どちらともつかないこと」「行動に抜かりがある様子」「まぬけ」を意味する格下のモノに対する言葉であり、これを「そうではない」と否定すると「半端ではない」となり「はなはだしい」→「ものすごい」と転用されるようになりました。
なぜ素直に「ものすごい」と言わないのでしょうか。

ヤクザが消えたら、日常言葉がヤクザになってしまった。
美しくて、表現がこまやかな日本語は大切にして欲しいと思っています。