風俗嬢 本

「日本の風俗嬢」(中村淳彦:著 新潮新書)と題する本があります。
以前にも書きましたが、2年前まで池袋東口界隈のソープランドとラブホテル、さらに風俗店が密集する繁華街にあるビルの4階に当社の資材倉庫があり、私は日常的にそのビルに出入りする若い女性と遭遇していました。

どこにでもいるごく普通の娘さんたちが自転車でやって来て、デリヘル店からアッケラカンと「行って来まぁ~す」と言って客との待ち合わせ場所に出かけて行き、まるで掃除でも終わったかのように「終わりましたぁ」と戻ってくる姿を見たり、この地域を流しているタクシーの運転手が「あの娘たちはほとんどが女子大生で、卒業の季節になると何事もなかったように地方に帰って行く」という話を何度か耳にしました。

また、隣のデリヘル店の店長が「凄いテクニックを持ったベテラン風俗嬢よりも、何も知らないバージンのようなウブな風俗嬢が一番人気がある、長く在籍する風俗嬢ほど価値が下がる、だから時々他店の風俗嬢と物々交換することもある」と話していました。

なぜ女子大生の風俗嬢が多いのか?
コンビニやファストフード店でのアルバイトは働く時間に拘束され、しかも時給が安く、勤務表を守らないで休むとペナルティがあるそうです。
それに比べ風俗嬢は空き時間や夕方から夜の時間帯、土日で稼げるので勉学とアルバイトを両立させやすく、さらに友人等を風俗店に紹介して採用されると最大で10か月分の紹介料がもらえるという噂があるほど、文字通り「短時間で簡単に楽に稼げる」というメリットがあります。

ただし、コミュニケーション能力や容姿が劣る女性は風俗店の面接すら通らず、生活が苦しくやむを得ずランクが低い風俗のヘルプで働くとか、借金を返すために売春行為をするという底辺の風俗嬢もいるので、実は風俗業界には「容姿がそこそこで短時間で簡単に楽に稼ぐ女子大生風俗嬢」と、コミュニケーション能力や容姿が劣るために「稼ぎたくても稼げない貧困層の女子大生風俗嬢」の二極化が存在しています。

この「稼ぎたくても稼げない貧困層の風俗嬢」に同情するフェミニズムグループの活動があります。
このグループは「男性たちに食い物にされ搾取されている風俗嬢を救済する」とか「性風俗そのものを認めない」と主張するのですが、この主張には根本的な矛盾があります。
あくまでもタテマエ論ではありますが、あくまでも風俗営業は合法であり、風俗嬢もれっきとした職業なのですから、フェミニズムであろうがなかろうが風俗産業に対して労働環境の改善と「健全かつ健康で働ける職場」に改善せよと主張すべきなんです。
特に風俗産業は生活力がない女性の数少ない働き口であって、ある種のセイフティネット(転落防止ネット)の役割があるのであり、大学に通いながら実家の家計を助けているのだという解釈だって成り立つはずです。

セックスワークとはさげすむべき仕事ではなく、違法な管理売春以外のセックスワークは、むしろ女性が自ら選択した職業の一つなのであり、オランダでは、個人の売春は国家が干渉すべき行為ではなく個人の意思や選択を尊重する観点から合法と考えられています。

そもそもフェミニズムやフェミニストとは「女性の権利を守る思想」のことであり、男女の賃金格差や陰核切除(クリトセクミー)・家父長制度に反対する等の活動のことであり、「ジェンダーの平等」とは、女性があらゆる「選択」や決断の権利を獲得することであり、バリバリ仕事するか、専業主婦をやるかの選択や、子供を生む・生まない、あるいは中絶する・しないの選択、さらに自分の好きなファッションする権利、あるいは自分の身体を使ってさまざまな表現をする権利と選択を留保なく女性に認めることにあります。
また女性に対して「女性は女性らしく振る舞うべきだ」という男性の押しつけや、女性自身が抱いている「女性は女性らしくあるべきだ」という固定観念や先入観など、これらの社会通念や根拠がない偏見と闘うことがフェミニズムのはずです。

こうした選択こそが、真の「ジェンダーの平等」を実現するのであり、フェミニズムとは「女性のあらゆる選択を可能にし、LGBTを含む多様な人間を受け入れる社会(ダイバーシティ)を作る」ことにあります。

したがって「男性たちに食い物にされ搾取されている風俗嬢は気の毒だ」と主張するフェミニズム論者は、女性が自ら選択した合法的なセックスワークさえも認めないばかりか、生活力がない女性の数少ない働き口であるセイフティネットとしての風俗産業を一方的に否定していることになります。
(こんなことを書くと「お前は風俗店のオーナーだろう」等の短慮の苦情が殺到するんだろうなァ)


男性でも女性でも「あなたの身体はあなたのものであり、自分の身体の一部を露出するとか、自分の身体を使ってどのように稼ぐかは、あなた自身が決めることであり、他人がとやかく言うべき問題ではありません。
その結果、どのような評価を受けるか受けないか、それもあなた自身が甘受すべき評価なのです。


冒頭で、「デリヘル店の店長が凄いテクニックを持ったベテラン風俗嬢よりも、何も知らないバージンのようなウブな風俗嬢が一番人気がある、長く在籍する風俗嬢ほど価値が下がる」と書きましたが、この事実は、実は新人のウブそうな風俗嬢は「低下し続ける女性器の価値を食い止めて、逆に女性器の価値を高めている存在である」という驚愕の解釈に帰結します。

セックスレスだ・草食系男子だ・結婚したがらない男女たちが多い時代にあって、素人っぽい風俗嬢だけが「女性には秘密のピンクの花園がある」という男性の幻想を依然として掻き立てているのですから。