重症急性呼吸器症候群(SARS-CoV-1:通称サーズ・人獣共通感染症)や、新型コロナ感染症(COVID-19:新型肺炎)等の病原性ウイルスによる感染症が拡大する中で人類はどのようにあるべきなのでしょうか?
一度、改めて懐疑してみます。(懐疑とは深く考察すること)
 
私たちは日常的に乳酸菌や納豆菌・麹菌・各種酵素・菌類から生まれたクスリ等の恩恵に預かっているのであり、その一方で、除菌・殺菌・抗菌・滅菌・消毒を繰り返すなど、実は相反・矛盾する生活をしています。

もともと微生物は私たちの皮膚にも腸内にも「常在菌」として、私たちの意思とは別に、独自の共生・共存のコミュニティを構築し、そのバランスを保つことで良くも悪くも人間に影響を与え続けています。
そもそも地球上に生きている微生物の総数は「415〜615×10の28乗」と言われ、地球は人類の数より数千倍多い「微生物の惑星」であって、潔癖症や過剰に除菌・殺菌・抗菌・滅菌・消毒・加湿を繰り返す行為は、むしろ「常在菌」のバランスを崩していることになります。
  
たとえば森や林の中の環境は土壌の中にいる様々な微生物と植物の共生・共存のコミュニティが構築されており、その森や林の中で昆虫類や野生動物・野鳥などが生息することで、より多様な微生物と共生・共存のコミュニティが構築されています。

従って人間を取り巻く環境から、除菌・殺菌・抗菌・滅菌・消毒・加湿を繰り返してあらゆる微生物等を排除しようとしても、それは「常在菌」のバランスを崩し、こうした行為が耐性菌の増殖を助長すると同時に、多様な微生物との共生・共存のコミュニティを破壊しているんであり、より広義な意味で環境破壊につながります。
この点に関して、人間はとんでもないあやまちを犯している可能性があるのです。
その一例が過度に除菌・殺菌・抗菌・滅菌・消毒・加湿を繰り返し行ったり、抗菌薬・抗生剤等で体内からウイルス等を除去しようとしたことで「薬剤耐性菌」が発生し、薬が効かない細菌の数が増えてしまいました。


ウイルスや微生物を際限もなく除菌・殺菌・抗菌・滅菌・消毒・加湿を繰り返すことで排除するのではなく、免疫力を高めるとか抵抗力を付ける、あるいはおだやかな形でいつの間にか抗体を持つような方法で、過度ではない衛生対策を行いつつ人間の健康や生活を守るような方策こそが恒久的な感染症対策だと思います。
一例を挙げれば、多様な微生物と野草・昆虫・野生動物等の共生・共存のコミュニティが構築された農山漁村で育った子どもは、喘息等の自己免疫疾患の重症度が比較的少なく、幼児期に多様な微生物に触れることが基礎的な免疫を上げていることも経験上判明しています。
(この、多様な微生物と野草・昆虫・野生動物等の共生・共存のコミュニティは「マイクロバイオーム」とも呼ばれる)
その過程で不幸にして感染症に罹患したとしても、それは自然界における「摂理」であり、ウイルスや微生物を際限もなく除菌・殺菌・抗菌・滅菌・消毒・加湿を繰り返し、「薬剤耐性菌」が発生したり、変異したウイルスが出現して、薬が効かない細菌の数が増えてしまうことよりも、結果として感染症による死者の数が抑えられ、経済的損失が少なくなり、医療費等の抑制につながるはずです。

微生物は目に見えないから恐ろしいと思うのですが、人類は、「415〜615×10の28乗」という途方もない数の常在菌が存在する「微生物の惑星」に間借りしている存在に過ぎません。
この微生物すべてを排除しようとすること自体がそもそも無謀なのではありませんか。